わたしの話をしろ、ですか?

い、今でしたらすぐに・・・・・・

え?あ、そういうことではないんですか?も、申し訳ありません・・・。

子供の時の話ですか?
・・・はい、かしこまりました。
わたしなんかの話でよろしければいくらでもお聞きください。



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子供の時は、狭い部屋の中にずっといました。
周りを見ても外というのは見えなくて、ドアが一つだけあるような場所でした。
ドアにはいつも鍵がかかっていてわたしでは開けることは出来なかったです。
それ以外には電灯しかありませんでした。

あ、でも動物用の食事の器が唯一置いてありました。
日に一回ぐらいですけどそれに食べ物がもらえたんです。
味は・・・よく分かりません。あんまりいい匂いはしませんでした。


父様の顔は分かりません。
でも、母様は唯一会いに来てくれました。
だけどとても厳しい人でした。あ、いえ、わたしがダメな子だったせいなんです。
よく分からないですけど「見てるだけで腹が立つ」と言われましたから。


母様にはよく怒られました。
しっかり「はい」と言わなかったり、ちゃんと謝らないと特に怒られました。
至らないところがたくさんありますからよく注意されました。
「痛い」って声を出すとたくさんぶたれます。

わたし、大きな傷が出来てもすぐに塞がりますから長い間構ってもらえるんです。
本当は塞がってすぐはまだ痛いんですけど、それは言えませんでした。
言ったところで何も変わらないですから。



足で踏まれたり蹴られたりすることも多かったです。
だいたいお腹なので血は出ないんですけど気持ち悪いのがせり上がってきます。
万が一吐いたりでもしたら自分で掃除しなくてはならないんです。
顔を床に押し付けられて舐めとるんですよ。


わたしの耳が嫌いだったみたいで、よく引っ張られました。
はさみで切られそうになった時もありましたし穴を空けられた時もありました。
耳は、敏感なのですごく痛かったです。



怒られてる途中でそのまま意識が無くなってしまう時もありました。
そうなった時は大抵、母様に水をかけられたり頬を叩かれて目が覚めます。
倒れてしまったことに対してまた怒られてしまいますけど。

母様を怒らせてしまった時には長い間来てくれなかったんです。
ご飯もありませんでしたし、すごく寂しい気持ちになってきて
じっと時間が過ぎるのを待ちました。
放っておかれるのが一番辛いです。それを思ったら痛いのは何てこともないです。


食べ物に辛い液体がたくさんかかってる時があったんです。
口の中がとても痛いですけど食べるのを止めたらむりやり口に入れさせられますから
ずっと痛むんです。
身体に辛いのを塗られることもあります。叩かれる痛みとは違って長く刺されるような痛みがするんです。

とっても熱い食べ物が出る時もあります。
それは冷めない内に食べないと怒られます。
味はやっぱりよく分かりませんけど、食べるのが遅いと顔に熱いのがかけられるんです。



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わたしに初めて生理が起こった日のことです。
母様はそれを見て何か思い立った感じで一度外へ出たんです。
傷も出来てない内に終わりましたからどうしたんだろう、って思いました。

そこからしばらくは本当に何もありませんでした。
また何かしてしまったのかな、ってずっと不安になりました。


どれくらいか分かりませんけど待っていたら足音が聞こえてきたんです。
いつものように一人ではなくたくさんでした。

戻ってきた母様はわたしの口を閉じれないように固定して、
そこ以外の顔の部分を包むように分厚い袋を被せたんです。
目も耳も口もほとんど機能してない状態でした。あ、あと手枷と足枷も着けられました。
その後どこかへ歩かされたんだと思います。よく分からなかったです。

たくさんの足音がわたしに近づいてくるのは分かりました。

たくさんの手で撫で回されました。それ以外のことは全く分かりませんでした。
母様の手ではありませんでしたし何も見えないことがとても怖かったです。
体勢も起こされたり寝かされたり磔にされたり、
今何が起こってるのか次に何が起こるのか全く分からない状態でした。

もがいていたら、撫で回していた手が一斉に手が止まったんです。
その後、異物感といっしょにものすごい激痛が走りました。
今思えばあれが破瓜だったんだ、って思います。
母様から受ける痛みよりも強くはなかったですけど、初めて受けた場所だったので
不慣れな痛みでした。



その日から、母様に叩かれるのに加えて袋を被せられて撫で回される日が増えました。
最初の時に感じた痛みは無くなりましたからやっぱり破瓜だったんだと思います。
たくさん汚れてしまった時には、母様がデッキブラシを持ってきて
「バイタの子だ」と言ってわたしの身体をブラシで擦ってくれます。
毛先が痛くて血も出てきてしまいますけどきれいにしてくれるから嬉しかったです。
でも、最後にかけられるお湯は熱くて少し辛かったです。


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何も考えられなくなってました。
母様はそうでしたけど、拘束されてる時の人達もそうだったみたいで
だんだんと痛い事や恥ずかしい事の回数が増えてくるんです。
電気を流されたり、玩具を挿れられてそのままで出て行かれたこともありました。
最後まで意識を失わずにいられた方が稀になってきたぐらいの頃です。


その日も足音が来るのをじっと待ってました。
それしか、ありませんでしたから。
あ、いえ、・・・本当は早く来てほしいなって思ってたのかも知れません。
一人で待ってる時間がすごく長く感じましたから。



でもその日は違ったんです。
うまく言えないんですけど、なんだか慣れていないような足音だったんです。

足音がドアを開いた時、その姿を見てなんだか信じられませんでした。
その人は女の人だったんですけど、わたしと同じネコの耳を持った人だったんです。
母様にひどく嫌われてたこの耳でしたから怖くなったんです。

あと、驚いた事がもう一つあったんです。
片足が無かったんです、その人。
鉄の棒みたいなものが足にくっついているだけでした。


その人は急ぐような速さでわたしに近づいてきました。
怖くなったんですけど、逃げたらもっとひどい目にあうだろう、って
思ったのでそこで動かないでいました。

そうしたらその人はわたしの頭に手を置いて
「ごめんね、"あきめ"」って言ったんです。
言葉の意味は分かったのですけど、どうしてそう言われたのかが分からないんです。
"あきめ"という言葉も最初は分からなかったんですけど、
その人は「あなたの名前」って言いました。


それを言って、その人はわたしの手を掴みました。
その途端に目の前の景色が歪んでいったんです。
気持ち悪くなって意識が飛んでいきました。





目が覚めた時には、あそこの部屋は無くなっていて外にいたんです。
その時初めて知ったんです。"外"っていう世界があるんだ、ということ。


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